新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の5類感染症移行に先立ち、学校園におけるマスク着用をはじめとする感染対策が大幅に緩和されました。一方、12歳未満が利用可能な経口抗ウイルス薬はなく、子どもの新型コロナワクチンの選択肢も限られており、接種率は低い水準に留まっています。子どもたちは、ほとんど無防備の状態で流行期の新学期に突入し、以前のような接触調査や検査も行われないなか、インフルエンザとのダブル流行による学級閉鎖ラッシュに直面することになりました。さらに、地域によっては学級閉鎖などの情報が十分に公開されておらず、適切な予防に努めることも難しい状況です。
5類移行後の学校現場では政府対策本部決定による「マスクの着用を求めないことを基本とする」を前提としつつ、文科省の「児童生徒のマスク着用は不要」「マスクを外して学校生活を送る」といった平時向けの指針が強く浸透しています。その結果、感染流行時や、有症状または発症から10日を経過していないなどの場合でも、適切な注意喚起がなされず、マスク着用を促すことが難しいという報告があります。また、マスク着用を希望する教職員や子どもにとっては、行き過ぎた脱マスクの風潮(極端な例としては一律にマスクを外すことを促すなど)も見られます。
文科省としてはマスク以外の感染対策を促していますが、有効とされている教室の空気環境の改善に資する換気対策(機械換気設備、空気清浄機、CO2モニターの整備など)も道半ばです。
オミクロン株の流行以降、子どもの感染が増えたことで、子どもの重症・死亡・後遺症例も増加し、自治体が保護者/教職員向けに新型コロナの罹患後症状(Long COVID、いわゆる後遺症)に関する啓発を開始する状況になっています。ただでさえ教員不足が指摘される状況において、複数の教職員の同時り患による現場からの離脱や長期の体調不良による離職といったリスクも無視できません。今後も、新型コロナに限らず、インフルエンザやRSなど、複数の感染症の同時流行が懸念されるなか、鎮咳薬や去痰薬などの医薬品の供給不足に関する報道も相次いでいます。
こうした状況を憂慮し、私たちは「感染症に強い学校」の実現を求め、全国の保護者とともに政治と行政に働きかけてまいります。具体的には、
1.感染流行時における学校教育活動での対策の啓発/推進(マスクの適宜着用、咳エチケット、手指衛生、身体的距離の確保など) 2.教室の空気環境の改善に資する換気設備(機械換気、空気清浄機、CO2モニターなど)とその維持運用のための体制の充実 3.子どもの新型コロナ後遺症に関する実態把握と対策の啓発/推進 4.学級閉鎖など学校の感染状況を把握するための情報公開の充実
の4点を主に当面は国政レベルで訴えてまいる所存です。本会の趣旨をご理解いただき、積極的なご協力とご参加をお願い申し上げます。
令和5年11月30日
共同代表 阿部 健太郎 太田 啓子
阿部健太郎が一般社団法人日本音楽会場協会を発足。コロナ禍におけるライブハウスなどの音楽会場業界と行政との交渉窓口やガイドライン策定に参画。
阿部が内閣感染症危機管理統括庁との打ち合わせに向けてX(旧Twitter)で意見を募集したところ、5類移行後に緩くなり過ぎた感染症対策を危惧する全国の方々から350以上の要望が寄せられた。阿部はこれらの意見を全て印刷し、国会議員立ち会いのもと、統括庁・厚労省・文化庁に陳情。
呼びかけに共鳴した関東圏の保護者と阿部が意見交換を実施。その過程で、教室の空気環境改善を訴えて政治や行政に働きかけてきた「学校園の空気環境を考える会」などの保護者団体が連携を表明し、全国の保護者と太田啓子が合流。 阿部と太田は、保護者からの共同代表への就任依頼を受け、これを快諾。「感染症に強い学校」の実現に向けた新規団体の設立準備が本格化。
「子どもを感染症から守る」というワンイシュー(=一つの政策課題)に賛同する、さまざまな立場の方々の受け皿として当会が発足。
私はコロナ禍で、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室をはじめとした省庁や政治家、専門家と共に『ライブハウス・ライブホールにおける感染症対策ガイドライン』作りとアップデートを行なってきました。 5類移行後、音楽業界では適宜の感染症対策も浸透してコロナ以前の状況に戻りはじめたことも踏まえ、新たに発足した内閣感染症危機管理統括庁と会合を行うことになりました。しかし未だ感染症対策が浸透していない業界や環境があるという声を多く見かけ、Xにて行政への要望を募ったところ大量の文章による要望が届き、結果的には500枚を超える国民からの要望意見を、国会議員立会の元、統括庁・厚労省・文化庁に渡してきました。その後、私に「緩み過ぎた学校の感染対策を危惧する幾つかの団体が集まり、学校や教育現場に対して適宜の感染症対策を求める新たな団体を立ち上げ予定。この代表に就任して欲しい。」と依頼があり、私はこれを了承し、当会代表の任に就きました。 私の一貫した方針は「感染状況に応じた適宜の対策」です。教育現場でもこれが正しく行われるよう、そしてコロナという禍が転じたニューノーマルが根付くよう尽力致します。
2020年3月の一斉休校以降、学齢期の子どもを抱える保護者の1人として、感染拡大時には適切な感染対策を行いつつ、できるだけ子どもに以前と同様の学校生活を送らせてあげたいと願い続けてきました。 5類移行したからといって感染対策が不要になるわけではなく、感染拡大期にはそれに対応するための合理的な対策をとらなければ学校現場は大変なことになってしまいますし、実際に学級閉鎖や行事延期・中止の多発など子どもの日常は感染症に翻弄されています。学校現場の状況を見て、「適切な感染対策が行われてこそ子ども達の日常をできるだけ従前と変わらないようにすることができる」と考える市民の声を可視化する必要があると考えるようになり、この会に参加しました。 コロナ禍では、県知事や市町村長の考えによって、その地域の感染対策の方向性がずいぶん違うのだと感じさせられ、地方自治のありようを考えさせられる機会が何度もありました。私達は、仕事、家事、育児に忙しい日常を送っている市民の有志ですが、自分達の地域の感染対策に関心を持ち、市民として地域の政治に声を届けていくことで、次世代への責任を少しでも果たしてゆきたいと考えています。
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